今月のビデオ・ザ・ワールドから


2001年12月号
(Ver1.1)

1.うんゲロまにあ 卯月妙子

卯月妙子 康は城門をどうしてくぐったのかわからなかった。
 気がついた時には大手をさけて総懸口から瘠狗(せっく)の姿で城内に立っていた。
「親方、ご城内でござりまするぞ。馬を降りられませ」
 言われて気づくと、大久保忠世が、きびしい眼をして自分を睨んでいる。
 家康は言われるままに馬からおりた。
 城内はシーンとしていて、眼に見える樹々はいっぱい雪をかぶっていた。
「なぜ歩かせられませぬ」また忠世に叱られた。が、地上へ降り立った瞬間の家康は、自分が生きているのとも死んでいるのも決定しかねる虚脱ぶりであった。
 それほど、この一戦に、家康は全てを賭けつくして戦って来たのである。
「お館!」また忠世の手が家康の肩をたたいた。
 そしてそのあとで大口あいて笑い出した。
「呆れたお人じゃお館は」
「な……なにッ」
「見られませ。馬の鞍つぼにせつな糞をもらしてござる。ああ臭や!」
「なに、予がせつな糞を……」
 家康はカーッと眼を開いた。よろめきながら鞍にすがってそれを撫でると、
「たわけめ! 腰の焼き味噌じゃ」
 そういうと、忠世の頬を平手で張った。パーンと音がした。 ──山岡壮八 『徳川家康』より

 これは徳川家康が三方ケ原で武田軍に敗れ、浜松城へ逃げ帰るときに馬上で「せつな糞」を垂れたというあまりにも有名なエピソードである。命からがら敗走したにもかかわらず、「ウンコ垂れ」の指摘に「味噌だ」と即座に返す家康のウィットに、思わずニヤリとさせられる。もし、筆者がこの場にいたらきっと腹を抱えて笑ってしまっただろう。そして、切り捨てられてしまったに違いない。それにしても、ウンコもらしたことが逸話になってしまうとは、やはり家康には天下人の才幹ありといわねばなるまい。さらに、この事件以降、岡崎では赤味噌が盛んに作られるようになったというから恐るべし。さすが徳川幕府の開祖である。──ということで本作はAV女優流出としては珍しいウンコ物だ。この手の話しは好き嫌いが分かれるところなので、興味のない方は読み飛ばしをお薦めする。(※写真は「ウンゲロミミズ2」撮影現場の「卯月妙子」)

 
ウンゲロミミズ ンコ物といえども馬鹿にしてはいけない。そこには長い歴史があるのだ。AV草創期からウンコ物は機があるごとに作られてきた。そして、その中心となったのがSM作品である。なぜなら、SMには浣腸がつきものだからだ。AV女優に浣腸を施し、脱糞するところを好奇の眼で楽しむ。その非日常に心を動かされたAVファンも少なくなかっただろう。しかしながら、当時のウンコ物はフェイクが多かったのだ。たとえば、アートビデオがリリースしたSM作品で島崎梨乃は浣腸&脱糞を熟しているが、その排泄物はレトルトカレーのルーだった。また、93年12月に配巻された裏ビデオ「変質者ビデオ 淫獣戦線」の中で加賀恵子がひり出しているウンコは練り羊羹だった──という具合ある。まぁ、この頃はウンコプレイを熟せるAV女優は少なかったし、アダルトビデオはいつの時代もギミック抜きでは語れないということを考えると、当然といえば当然だったのかもしれない。

 もちろん、ギミック無しでウンコ物を撮っていたメーカーもあった。ビデオインターナショナルである。肛門無修正なのでビデ倫を通らず無審査ビデオとして売っていた。いや、むしろ「ビデ倫を通していません」「肛門が見えます」をウリにしていたと言っても過言ではないだろう。収録されていた映像は、なるほどツクリではないリアリティの塊だった。まずセーラー服を着た女優に浣腸を施す。再度パンティをはかせてソファーにM字開脚のまま座らせる。そしてそのままカメラを回し、排泄する瞬間を捉えるのだ。やがて女優は我慢できなくなり下痢便を放出。排泄するたびにパンティの股布が盛り上がり、横から汚物が流れ出した。そして、一通り排泄が終わると、男優が女優のパンティを脱がせた。直接目に飛び込んでくる修正されていない肛門が生々しかった。タイトルも凄かった。『ウンコパニック』。さすがにレンタルする時恥ずかしかった。しかし、これらの作品はいずれも浣腸→排泄を見せるもので、ウンコ自体を弄ることについてはまだまだ聖域だったのである。しかし、このサンクチュアリを破るAV女優が現れたのだ。(※写真は「ウンゲロミミズ」パケ写)

 
卯月妙子 達かおる監督が89年に撮った「わくわく汚物ランド」は、まるで海外のフリークス物を見ているような異色作だった。それまで、アダルトビデオといえば綺麗なお姉ちゃんが出てくるのがあたりまえだったが、この作品はその概念を打ち破った快作だった。出演者は色白デブの童貞男(のちの久本大痴)やウンコを顔面で受けるウンコマニアの男など、普通のアダルト作品では考えられない面々が顔をそろえたのだ。そしてこの作品のワンコーナーに、初めて偽りのない食糞女優が登場した。彼女の名は池内梓。名古屋のSMクラブに在籍していたSM嬢だった。

 彼女の食糞プレイは少し変わっていた。ウンコを一つまみ口に入れる度に、あらかじめ用意してあったコーラを一口飲むのである。筆者はこの珍妙な食糞に少々戸惑った。しかも、ドイツのウンコビデオなどに比べるとはるかに甘ちゃんの食糞プレイである。しかし、初めて日本人によるそれを見られたということについてはなにより衝撃的だった。池内梓は、日本人初の食糞AV女優として、筆者の脳裏に刻み込まれた。その後、彼女はいくつかのビデオ作品に出演したあと、他の多くのAV女優同様、自然消滅的に消えていった。そして、90年3月に「ザ・SM」という裏ビデオが配巻されたのだ。この作品は筆者も持っているが、内容は残念ながら食糞プレイではなく、極々ライトなSM物だった。彼女が業界を退いてから既に10余年。今ごろどこでどうしているのだろうか。

 そして、次に登場するゲログロ女優が本作裏ビデオの卯月妙子である。初めての作品は池内梓と同じ「V&Rプランニング」から94年6月にリリースされた「ウンゲロミミズ」だ。彼女がこの作品で見せたのはウンコ、ゲロ、ミミズの踊り食いと、まさしくゲログロの世界。ちょうど、食糞の池内梓とミミズと戯れたさくらを併せ、さらにゲロ食いの調味料で仕上げたようなAV女優だった。そして、食すレパートリーが増えた点は、池内梓よりプログレス。ゲログロだって進歩するのである。(※写真は「ウンゲロミミズ2」撮影現場の「卯月妙子」)

 
ウンゲロミミズ2 ころで、卯月妙子は漫画も描くらしい。彼女の絵は見たことがないので、どんな具合だかわからないが腕前はいかほどのものなのだろうか。そうえいば、現在スカトロ女優として活躍中の刹那紫之も業界入りする前漫画を書いていたそうだ。普通ならジャンルは少女漫画となりそうなものだが、彼女が描くのはどういうわけかホモマンガだ。彼女の絵も見たことがないので、論評は差し控えるがいったいどんなものなのだろうか。そして、森村あすかもまた漫画を描いていた。ある出演作のパケの裏に彼女が描いた4コマ漫画が載っていたのを見たことがある。それは稚拙でまるで子供の落書きのようだった。彼女は真剣に漫画家を目指したこともあったそうだから、そのままいっていればAV女優での成功はなかったということだ。おおっと、話しがそれちまった。元に戻そう。

 卯月妙子の後に出てきたスカトロ女優としては、水樹千春、貴龍沙月をあげねばなるまい。水樹千春は現・三代目葵マリーであり、貴龍沙月は先に出てきた現在の刹那紫之である。両者ともスカトロとは関係ないところでデビュー、特に貴龍沙月は「アトラス」から95年に6月に「エロエロ感じるお年頃」で単体デビューも果たした、ごく普通のAV女優だった。しかし、まもなくスカトロ系へ転向、葵マリーは「カイザー」のビデオ「うんち大好き」やスカトロライブショーを自ら主催、また刹那紫之はアロマ企画の「うんこdeチュー」他さまざまなスカトロ作品で活躍中の現役ゲログロ女優である。特に刹那紫之は単体デビューを果たしただけあってそこそこ可愛いし、こんな娘が食糞を熟すとは更なる前進・前進・前進(中国国歌風)といっていいだろう。(※写真は「ウンゲロミミズ2」パケ写)

 
卯月妙子 して、次に登場したゲログロ女優・桃井麻美にはびっくりたまげ−しょんだった。「V&Rプランニング」がリリースした「スーパー大食糞」で、うんこ・ゲロ・ミミズは言うまでもなく、蛆虫やさらにゴキブリの踊り食いまで見せたのだ。ここまでくると、スカトロの範疇をはるか超え、ゲログロ物として行き着くところまで言ったという感じである。おそらく彼女はAV史上最強のキワモノ女優であろう。他にもレベルは低いながら、倉本安奈、双葉ちなみ、高橋みさあたりもスカトロを熟すし、リア王の桜井サラに至っては膣内にウンコを詰め込まれてもへーっちゃらだ。

 これらをつらつら鑑みるに感じるのは、先月号でも記したが最近の女の子のウンコに対する異様な耐性の高さである。チョイと前までAV女優にとってスカトロは、出演作がなくなった時に切る最後のカードだったはずだ。それを、いとも簡単に切ってしまう(そういった意識はないのかもしれないが)若手女優の心中は如何ばかりなのだろうか。しかも、体調が悪くならないだろうかとかバイ菌の心配とか、逆に見ているこちらの方が気になってしまう。もっとも、最近は「汚ギャル」と呼ばれる、何日も風呂に入らなくて平気だったり、同じ下着で何日も過ごす娘もいるというから、若年層の持つ潔癖という機軸が徐々に揺らぎ始めているのではないだろうか。

 さて、本作の内容は冒頭からいきなりのマンコ開きで順調な滑り出しである。卯月妙子はS男から放尿を命じられるが思うように出ない。するとS男が彼女の口めがけて小便をジャー。人間便器である。さらにハンバーガーのおしっこ漬けを食わせたあと、ゲロ責め。続いてスパンキング−Wホールバイブ攻撃−指マンと経た後、妙子がS男の肛門をねっとりと舐めるのだ。そして、生尺のあと玉袋も舐めて顔射。おしまいを飾るの当然のことながら浣腸で見事に脱糞。しっかりと体に塗りたくる塗糞プレイを見せて一巻の終わりである。筋金入りのウンコマニアにとっては、まだまだな感があると思うが、好奇心で見るには十分である。また、卯月妙子という好材を得て、日本の裏ウンコ物として上位入賞は確実といえよう。唯一本番がないのは残念だが、マニアック作品とは得てしてそういうものである。(※写真は「ウンゲロミミズ2」撮影現場の「卯月妙子」)

総 評
VD規格の不統一などいまだ不安が残るものの、DVDを置いているレンタル店ももはや珍しくなくなった。裏の世界でもそれは同じで、コピーDVD販売を手がける業者もだんだん増えつつある。このとき心配なのが規格不統一によるDVD再生に普遍性がないことだ。つまりあっちゃの機械では見れるがこっちゃの機械では見れんというのは非常に困るのである。たとえば初めての裏業者で買ったDVDが再生できない=騙し業者という短絡的な図式が成立する可能性が出てくる。これも怖い。もちろん、購入者がコピーDVDの特性に熟知していたり相手がなじみの取引業者ならば良いが、特性を知らない初心者や初めての業者でこれが起こると、いろいろとややこしいことになりそうだ。パソコンサポートではないが、近い将来裏ビデオ業者もDVDヘルプデスクを置かなければならない日がやってくるのかもしれない。

 さて、今月はウンコ物一本を通しで紹介した。なかなか、ウンコ物についてあれこれ書く機会がなく、ここでまとめて糞(噴)出した次第である。本来なら取り上げる予定だった愛田るか、弓川奈津子については、また別の機会にでも譲りたい。ということで、今月のイチオシは、無論『1.うんゲロまにあ 卯月妙子』をチョイスして、今月はこれにておしまい。